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恋するPure(R-18)

by 幸坂かゆり

恋する彼にたまらなく会いたいのに、テレパシーがきかなくて動けない。届かない場所にいるのだ。いらいらするのはお肌に悪い。せっかくあなたといちゃいちゃするために、ピンクの下着をつけたのに。とびきりキュートでセクシーなやつ。だって、今日はふたりがテレパシーで恋人になって1年目の記念日だもの。やっぱり頼んじゃおう。

あたしはルームシェアしている天使におねだりする。

「ねえねえ。羽、貸してくれる?」

「また? いやだなあ」

「お願い! 今度は汚さないから!」

あたしには前科があった。

以前、彼に会いに行く時にも羽を貸してもらい、そのままじゃあたしの服に合わないと思って羽をピンクに染めてしまったのだ。彼とはとっても盛り上がったけれど天使には大目玉をくらった。

「だって今夜は大切な日なの。絶対会いたい。なのにこんな状態、理不尽だと思わない?」

「私に言われたって」

「だから、会わせて」

「仕方ないわね」

天使は渋々、クローゼットから羽を出した。

「そっちじゃない方がいい! こないだおニューをカミサマにもらったって言ってたじゃない」

「新しい方を使うの?」

「お願い!」

「本当に汚さないでね。一応カミサマに直接手渡してもらったんだから」

「はーい。ありがと!」

あたしはお気に入りの赤いバッグに口紅とテレパシーと、何度も愛しあうための下着を入れてバルコニーから飛び立った。

きれいな夜空には星がたくさん。声をかけてくる星もいるけど無視をして彼を捜す。あっけなく見つかった。彼はまだ仕事中。どうりでテレパシーが効かなかった訳だ。彼の職場ではテレパシーの使用が厳禁なのだ。なぜなら、ある日若い社員がテレパシーで恋人と色んなコトしてよだれを垂らしちゃったそうである。

そのせいで大事なメモリー書類がパー。それからはどこの部署でも禁止になってしまった。近代的な機械がたくさんあるって言うのにほんの少しの液体で故障しちゃうんだから、まだまだ機械の発展は遅いと思う。そんなことを考えていると彼の仕事が終わったようだ。急いで帰り支度をしている。あたしはすぐにテレパシーを送って、窓にいることを知らせた。彼は優しく笑って、今行くよ、と合図を返してきた。オッケー、とウィンクして、あたしは屋上で彼を待った。

彼はすぐに来てくれた。さっそく、あたしの羽につかまって彼の部屋に移動開始。

飛んでいる間、彼はあたしの首筋にキスしたまま囁くものだから、飛び方がふにゃふにゃになっておかしな雲を夜空に描いてしまう。部屋に着いた時には靴も浮いたまま脱いじゃって、ころん、と床に転がった。彼の靴とあたしの靴が交わったのを見届けてあたしたちも愛しあう。

彼はあたしの着ている薄いワンピースをいとも簡単に脱がしてしまった。あたしも彼のシャツを捲り上げた。キスで甘く蕩けさせられたあと、あたしたちはまた立ったまま抱きあった。興奮すると羽がぱたぱたと動いて彼にばればれ。彼も笑ってわざわざ、随分、羽が騒がしいな、なんて言う。新しい羽? と聞かれたので、掠れた声になりながら「ううん、ルームシェアの天使の子の羽よ。汚しちゃだめってきつく言われてるの」と言った。

「似合ってる。すごく可愛い」

耳元で彼がそう囁く。彼の吐息に撫でられて、あたしは震えるほど気持ちが良くなる。彼はあたしのことなら何でも知っている。ふっと、彼の顔を見る。大好き。あたしは彼の凛々しい眉毛や、せつない瞼や、苺のような唇にキスをする。すると急に彼が小刻みな動きになった。あたしはもうガマンができない。彼に顔をぴったりつけたまま、あたしはいってしまった。すると、あたしの乱れた声が彼を刺激して、彼もほぼ同時にいっちゃった。ぎゅうっと抱きしめ合って、あたしたちは幸せでいっぱい。

その時、彼が「あっ」と、声をあげた。

「どうしたの?」

「ルームシェアの子に怒られる!」

「え? どうして?」

あたしは顔だけ振り返って羽を見た。あたしも「あっ」と声を出してしまった。彼の恋しい液体が羽にいっぱい飛び散っていた。

「あ~あ。後で謝らなきゃな。うわあ、オレが恥ずかしいよ」

あたしは吹き出した。

「まだまだ謝るのは先。あたしたち、愛しあったばかりだし夜は長いわ。その間にまたたくさんついちゃうかもしれないもん」

「それもそうだね」と言って、彼はまたあたしの腰を引き寄せた。あたしもあたしで簡単に彼を受け容れちゃうほど濡れていた。彼の匂いが混じった香水の香りが好き。

その時、彼が言う。

「いい匂いがする」

それはさっきつけたあたしの香水。暖まったせいか、足元にちょこっとつけただけなのに蒸発して強く鼻をくすぐる。あなたもいい匂いよ、と甘えた声で言ってみる。同じことを考えていたのね。テレパシーが通じて嬉しいのはこんな時。だけどやっぱり、どんなにテレパシーが使えたって生身の彼じゃなきゃいや。

アナタの体が好き。

アナタの匂いが好き。

アナタに触れているのが一番好き。

そう言ったら、彼も同じ言葉を返してきた。

そして、この羽についたのは汚れなんかじゃない、と、ふたりで説得してわかってもらおう、と言った。真っ白であたしたちが愛しあった印。そうね。きっとカミサマだって許してくれるわ。だって真珠みたいに、こんなにも羽よりも白く輝いてる。

《 Fin 》

2005年5月9日

解説

大澤誉志幸さんの同名の曲がテーマ、のはずなのですが、どう考えても曲よりR-18要素が強いです。大澤さんの曲はもう少し礼儀正しいです。この天使カップルのように靴を放り出したり、ルームメイトの約束を破るようなことはしません。はい。かわいいお話でしょ!(やけくそ)

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